道明寺通信

2022.01.26

十割そばについて

 当店のそば「もりそば」は正真正銘そば粉100%で純粋にそば打ちをした十割そばですが、時折疑われます。
 最近そば打ち教室がそこここにあり、趣味でそば打ちを楽しまれておられる方が増えています。全国的にはそば打ちの段位もあり、熱中される方もおられるとのことです。大変嬉しく感じております。
 ただ、段位をお持ちの方で十割そばを疑われる方がおられたことに少し困惑しました。当店が開業いたしました24年ほど前は「十割そば?そんなの打てる訳がない。そんなの嘘に決まっている。」と言われ、怒って帰られたお客様もおられました。
 自家製粉店の当店では、そば粉の製粉から十割そばの手打ち作業まで公開しております。お気軽に御見学頂けます。興味をお持ちの方は当店までお尋ね下さい。
 
 さて、開業以来十割そばについて何人もの方々とお話をしてきましたが、少し誤解が有るようです。よく有る誤解を招く例としては次の点が有ります。
 私が十割そばを打てているからと言って、どんなそば粉でも十割そばを打てるかと問われたら、それはNOです。例えばAというそば屋とBというそば屋があるとします。Aというそば屋の店主が、そこで扱っておられるそば粉で正真正銘十割そばを打っているなら、そこのそば粉で私も十割そばを打てると思います。
 しかし、Bというそば屋の店主が、そこで扱っておられるそば粉では十割そばが打てないと言っているのにも関わらず、私がそこのそば粉で十割そばを打つことは恐らく不可能です。ここからお分かりのように、どんなに高いそば打ちの技術力が有っても十割そばは打てないのです。言い換えれば、高いレベルのそば打ちの技術力が無くても十割そばは打てます。(私のそば打ち技術はまだまだ半人前です)
 因に、当店と同じように自家製粉を行い、十割そばをお出しになられている他店主とそば打ちの話はしたことは一度も有りません。つまり、大切なのは「そば粉」なのです。そして、当店のような自家製粉店ではそば粉を造るための原料(国内産)、「玄そば」(蕎麦の実)の品質が最も重要なのです。「玄そば」の仕入れ先は私たちにとって日々御来店頂くお客様と同じぐらい大切な人達なのです。
 ここでまた誤解を招くといけないので補足いたしますが、十割そばが最も優れた蕎麦だと言っているのでは有りません。つなぎ粉(小麦粉)を入れて打たれた蕎麦、例えば二八そばも私は大好きですし、素晴らしい二八蕎麦をお出しになられている蕎麦屋さんも沢山有ります。数多にある「蕎麦料理」の中のひとつが「十割蕎麦」であり「二八蕎麦」であるのです。蕎麦を食べるなら何方が良い等という議論が有るようですが、お食べになる方の勝手、好みであり、そういった議論には疑問を抱きます。

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